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合併症などについて

採卵前

卵巣過剰刺激症候群

卵巣過剰刺激症候群は不妊治療において、FSH製剤やhMG製剤など排卵誘発剤を使用した際、卵巣が過剰に反応することによって、卵巣が腫大し、腹腔内に腹水が貯留した状態になることを言います。急激に腹水貯留が進行すると血液濃縮が進み、脳梗塞等の障害を起こす危険性が出現します。
体外受精においては複数の卵子を採取することを目的に卵巣刺激を行いますので、軽度の卵巣過剰刺激症候群の状態になります。ただ、卵巣の反応は人によって異なりますので、卵巣の反応が良かった場合は中等度から重症の卵巣過剰刺激症候群となり、腹水貯留が進行し入院管理が必要になる場合があります。
卵巣過剰刺激症候群は妊娠した場合悪化する傾向がありますので、卵巣刺激時~採卵時~胚移植時には問題なくても、妊娠後、入院管理が必要になる場合があります。

採卵時

採卵による出血

膣内、腹腔内、皮下、膀胱内に出血する場合があります。出血の程度によっては手術による止血が必要となる場合があります。出血量によっては輸血をしなければならない場合があります。

腹膜炎

採卵時の穿刺にて腹腔内感染を起こす場合があります。抗生剤の投与(内服や点滴)や入院管理が必要な場合があります。

腸管損傷

腹腔内に癒着などがある場合は腸管を傷つけてしまう危険性があります。腹膜炎の程度と腸管損傷の程度によっては開腹手術の可能性があります。

採卵後

卵巣過剰刺激症候群

採卵前の所にも書きましたが、妊娠すると卵巣過剰刺激症候群は悪化する傾向にありますので、妊娠反応の日、妊娠判定後の経過観察は必ず受診するようにしてください。

子宮外妊娠

子宮内に胚移植をするのになぜ子宮外妊娠になるのか疑問に思われる方がいらっしゃると思いますが、これは子宮の内膜や卵管が運動しているため、受精卵を子宮に戻しても、着床までの間に子宮腔内から卵管や腹腔内に移動する場合があるためだといわれています。一般的には体外受精・顕微授精の妊娠例100例中 2~5例に子宮外妊娠が発生するといわれています。

多胎の危険性と多胎予防への取り組み

体外受精や顕微授精治療では、一回あたりの妊娠率を高めるために、2個以上の受精卵(胚)を子宮に移植することが行われてきました。その結果、双胎(双子)以上の妊娠が成立する可能性が高くなります。多胎妊娠は妊娠中の母体の異常だけでなく、早産による未熟児の出生や児の異常などさまざまな問題が起きるため、できうる限り単胎妊娠になるように努めなくてはなりません。当クリニックでは、2001年11月より、独自の基準を設けて移植する受精卵を1個にする努力を行ってきました。 2004年から2007年の間で、採卵から5日目の受精卵を移植した際の妊娠率と多胎率のデータを次に示します。

移植受精卵数
1個 2個
治療施行数(率) 治療施行数(率)
移植 508 385
妊娠 194(38.2%) 171(44.4%)
継続妊娠 159(81.9%) 143(83.6%)
単胎妊娠 191(98.5%) 113(66.1%)
双胎妊娠 3(1.5%)* 57(33.3%)*
品胎妊娠 0(0.0%) 1(0.5%)

*:p<0.01
☆単胎:1人、双胎:2人、品胎:3人

このように、移植する受精卵の数が1個と2個で妊娠率は変わりませんが、双胎率が高くなることが明らかになっています。

2008年に日本産婦人科学会の生殖補助医療における多胎妊娠防止に関して、「生殖補助医療の胚移植において、移植する胚(=受精卵)は原則として単一とする」という見解を示したことを受け、現在当クリニックでは移植する受精卵の数を原則1個としています。